腎臓病食の基本ポイント|食べ方で腎機能低下をコントロールする|管理栄養士が解説

腎臓病食の基本ポイントアイキャッチ画像 腎臓病

最近こんな症状が気になっていませんか?

多尿または少尿などの尿量の変化

足や手のむくみ。

疲れやすいなどの、体力の低下。

腰痛や背中の痛み。

そんな症状、実は腎臓病を知らせる体からのシグナルかもしれません。

腎臓の健康と食生活には密接な関係があります。そこで、腎臓の健康について知りたい人に向けて、透析専門病院の管理栄養士が腎臓病の食事の基本ポイントをお教えします。

腎臓は体のお掃除係みたいなもので、元気な腎臓がとても大切なんです。でも腎臓病になってしまうと、体の汚れや余分な水分をうまく出すことができなくなります。

ですから食べ物を工夫して腎臓の負担を軽くしてあげることが大切なんです。

この記事では、塩分やたんぱく質、カリウムの摂りすぎに気をつけること、ちょうどいい量の水分をとること、バランスのとれた食事の大切さをお伝えします。

きちんとした食事で、腎臓の健康を守りましょう!

1.  腎臓病とは? 腎臓の働きを理解しよう

腎臓病とは何なのか?その前に腎臓がどのように働いているのかを理解することが重要です。自身や家族の健康に関心を持つ人々にとって重要ですからしっかり理解してください。

腎臓の位置と形

腎臓が体のどのあたりにあるかご存知ですか。おしっこを作る場所だから膀胱の近くじゃないかと思っている方いませんか。実は腎臓は腰より少し上に位置しており、肋骨の下部の辺りの背中側に左右2個あります。

大きさはちょうど握りこぶしほどの大きさ。そら豆のような形をしています。

腎臓のイメージ画像
腎臓の構造
参照: 腸内美人の秘訣 理学療法士 坂井正宙の挑戦 (cyou-kenko.com)

腎臓の働き

腎臓は、血液を濾過することによって体から余分な水分や老廃物を取り除く重要な働きをしています。

他にも

1. 血圧を調整する

2. 血液を作る司令をだす

3. 体液量・イオンバランスを調節する

4. 強い骨をつくる!

といった機能があるんです。

腎臓の機能が低下すれば体に様々な不調が現れるだけでなく、放っておくと、どんどん進行して、透析療法や腎臓移植を行わなければいけなくなる可能性もあります。

腎臓病とは?

腎臓病とは、人の体の中にある腎臓が正しく機能しなくなる病気です。腎臓病には様々な種類があり、それぞれ原因も症状も異なります。

腎臓病の原因と症状

腎臓病の主な原因は高血圧や糖尿病ですが、他にもさまざまな原因があります。

腎臓病の代表的な症状にはいくつかあります。

尿の量や状態の変化:尿の量の減少、逆に夜間尿や頻尿、血尿、泡尿など。

腰周辺や下腹部の痛み:腎臓周辺の痛みや、下腹部に痛みがあることがあります。

足のむくみ:体内に余分な水分が溜まって、足や手首などにむくみが生じることがあります。足の甲の骨が見えないとか、すねの骨のあたりを指で押してみるとへこんだままでしばらく戻らないような状態です。

ほかにも、貧血、倦怠感、食欲不振、息切れなどの症状が現れることがあります。

慢性腎臓病

慢性化した腎臓病を慢性腎臓病(CKD)と言います。日本国内に1,330万人(成人の8人に1人)、世界で9.1%が罹患しているとされ、年々増加傾向にある注意が必要な病気です。新たな国民病ともいわれています。 

参照: World Kidney Program 2023 世界腎臓デー まなぼう腎臓 まもろう腎臓 (kaikou.or.jp)

ただし、慢性腎臓病(CKD)は、1つの疾患の名称ではなく、糖尿病性腎症(DM性腎症)や糖尿性腎臓病(DKD)を含めた腎臓の働きが徐々に低下していくさまざまな腎臓病を包括した総称です。

腎臓病の予防

腎臓病を予防するためには、健康的な食事を摂ることが大切です。水分を十分に摂り、バランスのとれた食事を心がけてください。

腎臓病の治療

健康的な食事と一緒に、医師の指示に従って薬の服用や定期的な検診も大切です。

腎臓病の人は、塩分やカリウム、リンといった栄養素の摂取を制限する必要があります。

具体的には、塩分の多い食品や加工食品(食品添加物が多いもの)を控え、カリウムの多いバナナやジュースも制限してください。また、たんぱく質の摂取量も調整する必要があります。

2.  食事の重要性 腎臓病と食べ物の関係

腎臓病を管理していくうえで、食事は非常に重要な要素です。腎臓病の人は、食事を通じて腎臓の健康を守ることが大切です。適切な食事療法を守ることで、腎臓病の進行を遅らせることができます。

そこで、この章では食事と腎臓病の関係について詳しく解説します。

食べ物が私たちの体に与える影響や、腎臓病において特に注意すべき栄養素について学んでいきましょう。

これらの知識を持つことで、腎臓病の進行を遅らせたり、症状の改善につなげたりすることができます。

正しい食事の選択や摂取量の調整は、腎臓病患者やその家族にとって絶対に知っておいて欲しいことですから、しっかりと理解してください。

腎臓病と塩分

第一には、塩分を過剰にとることは控えましょう。

過剰なナトリウムを摂取した場合、身体内に余分な水分が滞留し、むくみの原因となります。このため、塩分を体外に排出する重要な機能を果たしている腎臓は、余分なナトリウムを排泄するために負荷がかかることになります。

ですから、塩分含有量の多い加工食品や塩辛い食品は避けることが重要なのです。

腎臓病とカリウム

腎臓の機能が低下すると、体内のカリウム排出が適切に行われず、その結果としてカリウムが蓄積されます。

これにより、血液中のカリウム濃度が上昇し、カリウム濃度が5.5mEq/Lを超えると、高カリウム血症と呼ばれる状態が発生し、以下のような症状が現れます。

・消化器官の不調による、吐き気や嘔吐など

・神経系の異常によるしびれや知覚過敏

・筋肉や神経伝達の異常による脱力感など

・不整脈

特に不整脈には注意が必要であり、血中のカリウム濃度が7~8mEq/Lを超えると、重度の高カリウム状態となり、突然心臓が停止して死亡する恐れがあります。

そこで、腎臓の機能が低下している場合は高カリウム食品の摂取量を制限する必要があります。

代表的な高カリウム食品としては、バナナ、アボカド、トマトなどが挙げられます。

腎臓病とたんぱく質

腎臓の機能が低下すると、たんぱく質の代謝によって生成される老廃物(不要な物質)が腎臓から体外へ排出されずに蓄積して、腎機能の低下や尿毒症などの問題を引き起こすことがあります。

このため、医師の指導のもとで、老廃物の蓄積を最小限に抑えて腎機能の低下を抑制するために、適切なたんぱく質の摂取量を制限することが必要です。

医師や栄養士に相談

腎臓病の人には医師や管理栄養士などの専門家と相談しながら食事を工夫することが重要なのがお分かりいただけたと思います。

健康な食事と適切な治療を続けることで、腎臓の健康をサポートしましょう!

3.  腎臓病におすすめの食品 健康な食べ物を選ぼう

腎臓病を抱える方にとって、適切な食品の選択は健康を維持するために欠かせません。この章では、腎臓病におすすめの食品について述べていきます。

腎臓機能をサポートするためには、たんぱく質や塩分の摂取量を適切に調整することが重要です。

また、野菜や果物などの栄養豊富な食材も積極的に摂取することが推奨されます。

そういった腎臓病に効果的な食品の種類や栄養価について詳しく解説します。腎臓病の食事に適した食品や飲み物の選び方、摂取すべき栄養素について知りましょう。

野菜やフルーツ

腎臓病の人には、健康な食事の中でまずは、野菜やフルーツがお勧めです。

これらはビタミンやミネラルが豊富で、体に良い影響を与えます。ただし、カリウムの摂り過ぎに気を付けるため、バナナやジュースは少量にしましょう。

たんぱく質

たんぱく質源として鶏肉や魚があります。これらは体を作るために重要な栄養素ですが、適量を守ることが大切です。

エネルギー

穀物やパン、米などの炭水化物もエネルギー源として摂取できます。ただし、食事全体のバランスを考えながら摂ることが大切です。

水分

水分摂取も忘れずに。水分は体の老廃物を排出するのに役立ちます。ただし、医師の指示に従って適量を守ることが大切です。

食事には個人の状態に合わせた注意が必要なため、医師や栄養士に相談して適切な食品選びをしましょう。腎臓の健康を保つためには、バランスの取れた食事と医師のサポートが重要です。

4.  食事の注意点 気をつけるべきポイントとは?

腎臓病を抱える方にとって、食事の注意点を理解することは非常に重要です。

腎臓病では、たんぱく質や塩分の摂取制限が必要となる場合があります。また、特定の食品や飲み物の摂取にも制限があるかもしれません。

この章では、具体的な注意点や制限事項について詳細にご紹介します。

さらに、なぜこれらの注意が必要なのか、腎臓にどのような影響を与えるのかを理解することも重要です。

正しい知識を持つことで、腎臓の負担を軽減し、病状の進行を遅らせることができます。ぜひこの記事を最後までお読みいただき、腎臓病患者が注意すべき食品や調理法、飲酒や塩分摂取の制限、腎臓病における食事の注意点について学んでください。

飲酒について

腎臓が悪い方が特に気を付けなければいけないのは飲酒です。腎臓病の人は、アルコールを控えましょう

なぜならアルコールは体の水分バランスを乱し腎臓に負担をかける可能性があるからです。

医師の指示に従って飲酒の制限を守りましょう。

塩分摂取について

最後に、塩分摂取についてです。腎臓病の人は塩分を制限する必要がありますので、加工食品や塩辛い食品は控えましょう。また、外食する際には塩分の多い料理を避けるようにしましょう。

調理法

家庭の食事で注意いただきたいのは調理法です。

腎臓病の人は、塩分を控える必要がありますから、料理に使う塩の量を少なくしましょう。

塩味がすくないと、食欲も湧かないものです。そこで代わりに、出汁などの旨みや、香辛料・ハーブを使って味を引き立てる手法を活用しましょう。

まとめ

食事の制限は腎臓の健康を守るために大切ですが、具体的な制限基準は個人によって異なるので、医師や栄養士に相談して指示を受けることが大切です。

健康な食事と制限を守って、腎臓の負担を軽くしましょう!


腎臓病食のレシピに特化したサイトのトップ5を調べました。こちらも参考にしてください。

5.  ダイエットと腎臓病 体重管理のコツと注意事項

体重管理やダイエットをする場合の注意点・適切な方法

この章では、腎臓病とダイエットの関係について、腎臓病患者に適したダイエットのコツや注意事項について具体的に解説します。

ダイエットを通じて体重を管理することは、腎臓の負担を軽減し、病状の進行を遅らせる一方で、適切な方法で行わなければなりません。

ここでは体重管理においてはバランスの取れた食事と適度な運動が重要であり、腎臓病の場合はさらに細かな注意が必要だということをご紹介します。

食事と運動

腎臓病患者が肥満気味の場合、体重管理やダイエットには注意が必要です。まず、重要なのは医師や管理栄養士と相談することです。

医師や管理栄養士はあなたの状態に合わせた適切なアドバイスをくれます。ただし、無理なダイエットや急激な体重減少は避けてください。ゆっくりと健康的に体重を減らすことが大切です。

食事面では、塩分や糖分を制限し、バランスのとれた食事を摂ることです。また、適度な運動も助けになります。

ただし、過度な運動や負荷のかかるスポーツは避けましょう。医師の指示に従って適切な運動を選んでください。

睡眠

食事や運動だけでなく、十分な睡眠をとることも大切です。睡眠不足は体重管理に悪影響を与えることがあります。

最後に、忍耐とコミットメントが必要です。健康的な体重管理は時間がかかることもありますが、腎臓の健康を守るためには大切なことです。自分自身を信じて、医師や栄養士と協力して取り組みましょう。

6.  まとめ

基本ポイント

この記事では、腎臓病の食事についての基本ポイントを紹介しました。腎臓病では、食事を通じて腎臓の負担を軽減し、病気の進行を遅らせることが重要です。

塩分やたんぱく質、カリウムの摂取量に注意し、適切な水分摂取を心掛けましょう。バランスのとれた食事の組み合わせも重要です。

腎臓病の食事の基本ポイントをまとめると、以下のようになります。まず、塩分を控えめにし、たんぱく質は適度に摂取することが大切です。カリウムの摂取量にも注意しましょう。また、適切な水分摂取を心掛け、バランスのとれた食事を組み合わせましょう。

このような食事の工夫によって、腎臓の負担を軽減し、腎機能の低下をコントロールすることができます。正しい食事を通じて、腎臓の健康をサポートしましょう。

お勧めのサービス

腎臓病の患者にとって、食事は大きな影響を及ぼす要素であることはご理解いただけたかと思います。

適切な食事の選択と摂取方法を学ぶことは、腎臓病の管理と進行の遅延につながる重要な手段です。正しい食事療法を実践することで、生活の質を向上させ、腎臓の健康をサポートしましょう。

とは言っても、食事の管理は時間と労力を要するため、すべてを自分だけで管理することは困難ということは良く知っています。

そこで、腎臓病の患者やその家族の方々のお手伝いとなるおすすめのサービスをご紹介いたします。

「宅配食や宅配冷凍弁当」という便利なサービスを利用することで、家庭での食事準備にかかる手間や時間を節約することができます。以下に、そのメリットについてご説明いたします。

まず第一に、宅配食や宅配冷凍弁当は、栄養バランスの取れた食事を手軽に提供してくれます。専門の栄養士がバランスのよい献立を考案し、必要な栄養素を含んだ食事を提供してくれます。これにより、腎臓に負担をかける食材や栄養素を適切に制限することができます。

第二の利点として、デリバリーフードやフリーザーストレージで提供されている食事は、料理や前処理の手間を省くことができます。

病気や忙しい日常生活では、食事の準備に時間を割くことは非常に困難ですから、このようなサービスを利用することで、手間をかけずに栄養バランスの取れた食事を摂ることができます。

さらに、デリバリーフードやフリーザーストレージで提供される食事には、食材の選択や調理法にも配慮されています。

特に腎臓病の方にとって、塩分やタンパク質の制限などの注意事項も考慮されており、安心して食事を楽しむことができます。

これらの利点を最大限に活かし、デリバリーフードやフリーザーストレージの利用により、腎臓病の負担を軽減し、進行を遅らせるための食事を手軽に実現できます。

また、家族の方々も、忙しい中で家庭での食事作りに悩むことなく、安心してサポートすることができます。ぜひデリバリーフードやフリーザーストレージを利用して、腎臓の健康を守りながら美味しい食事を楽しんでください。


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